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CG’s EYE

急ピッチに進む教育改革Vol.9

No.018 2017年02月01日

次期学習指導要領のポイント②

前回に続き次期学習指導要領のポイントをみていきます。

小学校英語の指導内容と到達目標

編集員:次期学習指導要領の目玉は小学5・6年生での英語の教科化です。

編集長:答申資料には、指導の具体的な内容が示されているね。「This is a pen.」から始まった世代の英語学習とは違い、コミュニカティブな英語学習だ。

5年生
Lesson 単元名 題材等   時間数
1 Hello, everyone. 挨拶・自己紹介 I like/don't like ~ . 5
2 Do you have "a"? 身の回りの英語表記 Do you have~? 8
3 When is your favorite day? 月日・季節 When is ~? Why? 8
4 This is ME! スポーツ・楽器・身の回りのもの・動作 I can ~. Can you ~? 8
5 Turn right. 建物・道案内 Where is ~? 7
6 This is our town! 自然・食べ物・特産物等 This is ~. 8
7 My school schedule 教科名・曜日・身の回りのもの I study ~ on Monday. 8
8 Healthy menu 食べ物・食習慣 What would you like? 8
9 We are good friends. 世界の童話・日本の童話 Let's ~. 10
6年生
Lesson 単元名 題材等   時間数
1 Hello, nice to meet you. 挨拶・自己紹介 I'm ~. 5
2 This is our school. 教室名・身の回りの物・形状・気持ちを表す語 I like ~. 8
3 Let's go to Italy. 世界の国々・生活 I want to go to~. 8
4 Welcome to our country. 日本の特徴 ~ is ~. 8
5 What time do you get up? 一日の生活・時刻 I get up at 7:00. 8
6 A letter to … 動物 ~ is chasing ~. 8
7 My favorite event 学校生活 My favorite event is ~. 8
8 What do you want to be? 職業・気持ちを表す語 I want to be a teacher. 8
9 Junior High School Life 中学校生活 I want to enjoy ~. 9

編集員:資料にはCEFRに基づいた小・中・高の到達目標も示されています。「話すこと」が「やり取り」と「発表」に分けられて具体的に示されています。CEFR_B2は日本語でも難しい要約力や表現力、論理力のレベルですね。

編集長:現状ではCEFR_A2レベルにさえ、半数以上の高校生が届いていないから、相当高い目標であることは間違いないね。

編集員:小学校3年生から英語に親しみ、5年生から本格的に英語学習がスタートするのも、その高い目標達成のためであるわけですね。

CEFR
pre-A1
聞くこと
  • アルファベットの発音を聞いて、どの文字であるかがわかるようにする。
  • 挨拶や短いごく簡単な指示を聞いて理解することができるようにする。
  • ゆっくりはっきりと、繰り返し話されれば、自分に関することや身近で具体的な事物を表すごく簡単な語句や文を聞き取ることができるようにする。
読むこと
  • ごく身近にあるアルファベットの文字を識別し、発音できるようにする。
  • 音声で十分に慣れ親しんだ、ごく身近で具体的な事物を表わす単語を見て、その意味を理解できるようにする。
話すこと(やり取り)
  • 挨拶やごく短い簡単な指示に応答することができるようにする。
  • 相手のサポート(ゆっくり話す、繰り返す、言い換える、自分が言いたいことを表現するのに助け船を出してくれる など)があれば、自分に関することについてごく簡単な質問に答えることができるようにする。
話すこと(発表)
  • 定型表現を用いて、簡単な挨拶をすることができるようにする。
  • 自分や身の回りの物事に関するごく限られたことについて、簡単な語句や文を用いて話すことができるようにする。
書くこと
  • 目的を持ってアルファベットの大文字と小文字を活字体で書くことができるようにする。
  • 例文を参考にしながら、音声などで十分慣れ親しんだ語句や文を書き写すことができるようにする。
A2
聞くこと
  • 短い簡単なメッセージやアナウンスを聞いて、必要な情報を聞き取ることができるようにする。
  • 身近な話題に関する短い会話を聞いて、概要や要点を理解できるようにする。
  • ゆっくりはっきり話されれば、身近な事柄に関する短い説明の要点を理解することができるようにする。
読むこと
  • 日常生活において身の回りにある短い平易なテクストから、必要な情報を読み取ることができるようにする。
  • 平易な英語で書かれた短い物語を読んで、あらすじを理解できるようにする。
  • 身近な話題に関して平易な英語で書かれた短い説明や手紙を読んで、概要や要点を理解できるようにする。
話すこと(やり取り)
  • 日常生活や自分に関連した事柄に関する短い簡単なやりとりができるようにする。
  • 身近な話題や興味関心のある事柄について、ある程度準備をすれば、会話に参加することができるようにする。
  • 身近な話題について、簡単な英語を用いて簡単な意見交換をすることができるようにする。
話すこと(発表)
  • 身近な事柄や出来事について、簡単な語句や文法を用いて即興で話すことができるようにする。
  • 身近な話題や関心のある事柄について、簡単な説明をすることができるようにする。
  • 身近な話題について、自分の意見やその理由を簡単に話すことができるようにする。
書くこと
  • 自分が必要とする事柄について、短い簡単なメモやメッセージなどを書くことができるようにする。
  • 身近な事柄についても簡単な語句や表現を用いて短い説明文を書くことができるようにする。
  • 聞いたり読んだりした内容について、簡単な語句や表現を用いて、自分の意見や感想を書くことができるようにする。
B2
聞くこと
  • 母語話者同士による多様な話題の多い会話を聞いて、概要や要点を理解できるようにする。
  • 身近な話題に関する複雑な流れの議論を聞いて、話の展開を理解できるようにする。
  • 自然な速さで話される時事問題や社会問題に関する長い説明を聞いて、概要や要点を理解できるようにする。
  • ある程度知識のある社会問題や時事問題に関するラジオ番組やテレビ番組を視聴して、概要や要点を理解することができるようにする。
読むこと
  • 関心のある分野の記事や資料から、必要な情報を読み取ることができるようにする。
  • 興味のある現代小説や随筆を読んで、概要を理解することができるようにする。
  • 時事問題や社会問題に関するレポート、資料を読んで、概要や要点、筆者の姿勢や視点を理解できるようにする。
話すこと(やり取り)
  • 幅広い話題に関する会話に参加し、情報や自分の意見などを適切かつ流暢に表現することができるようにする。
  • 知識のある時事問題や社会問題について、幅広い表現を用いて流暢に話すことができるようにする。
話すこと(発表)
  • 幅広い話題について、即興で、説明したり自分の考えや気持ちなどを話したりすることができるようにする。
  • 幅広い分野のテーマについて、明瞭かつ詳細な説明をすることができる。
  • 多様な考え方ができる時事問題や社会問題について、様々な見方の長所・短所を示すとともに、自分の意見を幅広い表現を用いて論理的に説明することができるようにする。
  • 聴衆の反応に応じて、発表の内容や方法を調整することができるようにする。
書くこと
  • 関心のある分野のテーマについて、事実や情報などを明瞭且つ詳細に伝える説明文を書くことができるようにする。
  • 時事問題や社会問題など幅広い話題に関する記事や資料を読んで、その概要や要点を書いてまとめることができるようにする
  • 時事問題や社会問題など幅広い話題について、得た情報を活用しながら、自分の意見やその理由を論理的に書くことができるようにする。
  • Eメール、エッセイ、レポートなどをそれぞれの用途に合った文体で書くことができるようにする。

4観点から3観点へ

編集長:今回の学習指導要領でもうひとつ重要なのが、観点別評価の変更。現在は4観点だが、それが3観点に変更になる。成績表が変わるわけだね。

編集員:観点別評価は1992年の改訂から登場しているので、私たち20代は観点別評価の時代でした。

編集長:「意欲」も学力だという考え方は、それまでの宿題が自主学習に変わるなど、大きな変化をもたらした。授業中の発言回数を記録するなど、学校の先生方も大変になった。生徒にとっても発言や質問といった行動が「内申取り」と揶揄されるなど、不健全な状況が生じたのも事実だ。そういった指摘を踏まえ「関心・意欲・態度」から「主体的に学習に取り組む態度」という表現に変わったわけだ。答申では「子供たちが主体的に学習に取り組む場面を設定していく」ことの重要性が上げられている。

編集員:そのための「アクティブ・ラーニング」でもあるわけですね。

編集長:グループワークで積極的に意見する、といった行動面ではなく、中身そのものが問われるようになることを願っている。

【図】学習指導要領改定の方向性

編集員:ひとつ分かりにくいのが、各教科で育成する資質・能力を見ると「主体的に学習に取り組む態度」ではなく「学びに向かう力・人間性等」となっていることです。

編集長:今回の改訂では「新しい時代に求められる資質・能力の育成」を教育課程全般を通して行うことがうたわれている。その資質・能力には3つの要素があるとされている。ひとつは知識に関するもの、ひとつはスキルに関するもの、もうひとつが情意(人間性など)に関するものだそうだ。この3つの要素を
①「何を理解しているか、何ができるか(生きて働く「知識・技能」の習得)」
②「理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)」
③「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養)」
の3つの柱に整理したのが今回の改訂であるわけだ。そしてこの3つの柱に基づいて各教科の育成する資質能力が整理されている。 「学びに向かう力・人間性等」には、観点別評価になじまない「感性や思いやりなど幅広いものが含まれ」るので、「主体的に学習に取り組む態度」と言い換えているわけだ。

各教科で育成を目指す資質・能力の整理

中学校教科
数学
知識・技能
  • 数量や図形などに関する基礎的な概念や原理・法則の理解
  • 事象を数学化したり、数学的に解釈したり、表現・処理したりする技能
  • 数学的な問題解決に必要な知識
思考力・判断力・表現力等
  • 日常の事象を数理的に捉え、数学を活用して論理的に考察する力
  • 既習の内容を基にして、数量や図形などの性質を見いだし、統合的・発展的に考察する力
  • 数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表現する力
学びに向かう力・人間性等
  • 数学的に考えることのよさ、数学的な処理のよさ、数学の実用性などを実感し、様々な事象の考察や問題解決に数学を活用する態度
  • 問題解決などにおいて、粘り強く考え、その過程を振り返り、考察を深めたり評価・改善したりする態度
  • 多様な考えを認め、よりよく問題解決する態度
理科
知識・技能
  • 自然事象に対する概念や原理・法則の基本的な理解
  • 科学的探究についての基本的な理解
  • 探究のために必要な観察・実験等の基本的な技能
思考力・判断力・表現力等
  • 自然事象の中に問題を見いだして見通しをもって課題や仮説を設定する力
  • 計画を立てて、観察・実験する力
  • 得られた結果を分析して解釈するなど、科学的に探求する力と科学的な根拠を基に表現する力
  • 探究の過程における妥当性を検討するなど総合的に振り返る力
学びに向かう力・人間性等
  • 自然を敬い、自然事象に進んでかかわる態度
  • 粘り強く挑戦する態度
  • 日常生活との関連、科学することの面白さや有用性への気付き
  • 科学的根拠に基づき判断する態度
  • 小学校で身に付けた問題解決の力などを活用しようとする態度
社会
知識・技能
  • 我が国の国土と歴史や現代社会の政治、経済、国際関係に関する理解
  • 社会的事象について調べまとめる技能
思考力・判断力・表現力等
  • 社会的事象の意味や意義、特色や相互の関連を多面的・多角的に考察したり社会に見られる課題を把握し、解決に向けて複数の立場や意見を踏まえて選択・判断したりする力
  • 思考・判断したことを説明したり、それらを基に議論したりする力
学びに向かう力・人間性等
  • 社会的事象について主体的に調べ分かろうとして課題を意欲的に追究する態度
  • よりよい社会の実現を視野に社会に関わろうとする態度
  • 多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵養される自覚や愛情等

英語学習とアクティブ・ラーニングの成否がカギとなる

編集員:2回にわたり次期学習指導要領について見てきました。学習指導要領は子どもたちの学習に多大な影響を与えるわけですが、これからどのような点に注意をすると良いのでしょう。

編集長:1992年の改訂では観点別評価によって宿題がなくなったり、内申点のつけられ方が変わったりした。2002年の改訂は学校週5日制と、それに合わせた学習内容の3割削減で学力低下を招いた。そして今回はなんと言っても英語とアクティブ・ラーニングだね。

編集員:英語はどのような点が?

編集長:今より学習歴が長く、そして到達目標も高くなるということは、それだけ差がつきやすくなるわけだ。すでに大学入試ではTEAPを代表とする、英語4技能評価が広がっていて、私立難関大への進学では英語力が「武器」になっている。どれだけ英語を味方につけられるかは、今以上に進学結果に直結するだろうね。

編集員:アクティブ・ラーニングについては?

編集長:「なんちゃってアクティブ・ラーニング」なんて言葉も聞かれるぐらい、かたちだけのものになりかねない。これまで公立中高一貫校での実践を見てきたけれど、生徒の学習能力がダイレクトにその成否に関わる。そして、効率面から見ても危険をはらんでいる。ただでさえ授業時間数は限られ、すべての単元を消化しきれないまま高校入試を迎えるケースが現状でも見られる。何より「教え込む」こと自体が悪しき指導だとなると、2002年教育改革の失敗以上の結果を招く危険があると私は思っている。

編集員:学力低下が再び起こる可能性があるということですね。

編集長:学校の先生方は優秀だけれど多忙な毎日を送っている。アクティブ・ラーニングは「仕込み」にも時間がかかる。十分な授業準備ができるよう、先生方の「ゆとり」の創出こそがもしかしたらいちばん重要なのかも知れないね。

編集員:引き続き、次期学習指導要領について取り上げていければと思います。

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