入試最前線
2009年9月18日号

>> 私立高校の入試制度と受験組み立てパターン

これまでの入試最前線ではおもに公立高校入試について触れてきましたが、今回は公立高校が第一希望の生徒にとってもポイントとなる私立高校の入試についてお伝えします。

★ 全日制公立高校進学希望者のうち実際に進学できるのはおよそ7割

進路希望調査と進学状況調査の結果
神奈川県では毎年、公立中学3年生の生徒の多くが全日制公立高校への進学を目指します。昨年度は卒業予定者数65,375名のうち、12月の進路希望調査時に53,104名とおよそ8割が全日制公立高校への進学を希望していました。しかし、今年3月に実施された進学状況調査の結果を見ると、卒業者総数65,422名のうち、全日制公立高校へ実際に進学できたのは39,797名と卒業者のおよそ6割であったことがわかります。この実際に進学できる生徒の割合は毎年ほぼ同じで、希望しても全員が公立高校に進学できるわけではないということです。そのため、神奈川県では公立高校が進学先の第一希望であっても、公立高校だけでなく私立高校を組み入れた受験パターンを準備し、高校受験に臨むのが一般的です。最終的な公立の受験校決定の際も私立高校の選択と組み入れ方がポイントとなりますので、きちんと検討しておく必要があるでしょう。

★ 神奈川県内私立高校の入試制度

私立高校の入試制度はどのようなものなのでしょうか。〔表2〕をご覧ください。前期選抜と後期選抜で実施される公立高校の入学者選抜に対し、神奈川県内の私立高校入学者選抜には「推薦入試」「書類選考」「一般入試」3つの方法があり、さらに推薦入試は2つ、一般入試は3つに分類できます。多くの高校がこれらの中から2種類以上の方法を採用しています。
〔表3〕に神奈川県内の私立高校が実施している入試制度の例をまとめていますのであわせてご参照ください。ここで取り上げただけでも実施状況は各校さまざまであることがわかります。

■ 〔表2〕 神奈川県の私立高校入試制度
制度の呼称
内申等の基準

筆記試験

 他校との併願受験の可否

推薦入試
推薦Ⅰ
×
 他校の受験はできない
推薦Ⅱ
×
 他に公立の前期選抜のみ受験できる
書類選考
×
 学校によって異なる
一般入試
単願
 一般に他校の受験はできない
併願
 一般に公立高校や他校の一般受験を受験できる
一般受験
(オープン)
×
 何校でも受験できる



推薦入試の中の「推薦Ⅰ」はその高校を第一志望とする生徒が受験でき、試験は面接のみ(作文を課す高校もある)で筆記試験は行われないのが一般的です。また、公立高校の入学者選抜と異なり、「内申数値○以上」とクリアするべき基準値があり、これは打診基準などと呼ばれます。ほとんどの学校で中学と高校の間で事前に入試相談が行われるため、定められた基準値を満たしていればほぼ合格となります。ただし、慶應義塾や日本女子大学附属のように、基準値=(イコール)出願資格であるケースもあり、数値を満たしていても不合格者が出る高校があります。「推薦Ⅱ」は2004年度から導入された制度で、公立高校の前期選抜とのみ併願が可能です。前期選抜を不合格になった場合、または辞退した場合はその私立高校に必ず進学することが条件となります。こちらも推薦Ⅰと同様、中学と高校の間で事前に入試相談が行われます。「書類選考」は推薦入試と同様に面接や筆記試験を行わず、調査書などの出願書類のみで選考されます。県内では法政大学第二と法政大学女子などがこの入試を実施しており、2010年度は藤嶺学園藤沢でも実施が決定しています。


続いて一般入試です。一般入試には3つの種類があり、すべて筆記試験が行われます。「単願」は「専願」とも呼ばれ、その高校を第一志望とする生徒が対象です。筆記試験はありますが、内申などの基準値を満たしていればほぼ合格します。一般入試のうち、公立高校を第一志望とする生徒が押さえ校獲得のために受験するのが「併願」です。こちらも筆記試験は必須ですが、推薦入試や一般入試の単願と同様に中学校と高校の間で事前相談が行われるため、基準値を満たしている生徒であれば不合格となる可能性はほとんどありません。県内では慶應義塾・桐光学園・日本女子大学附属・法政大学第二・法政大学女子などをのぞく大部分の高校で実施されています。県外の国・私立高校にも一般入試に併願と類似の制度がありますが、県内のものとは異なります。最後は「一般受験」です。この制度は「オープン」とも呼ばれます。打診基準はなく、試験当日の得点結果のみで選抜が行われるため、実力のみで合否が決まるといえます。〔表4〕のように県内および県外の国・私立難関上位校の多くで実施されており、何校でも受験できます。

■ 〔表3〕 各高校が採用している入試制度の例 (2010年度)
高校名 推薦入試
書類
選考
一般入試
推薦Ⅰ
推薦Ⅱ
単願
併願
一般受験
 鎌倉学園
×
×
×
×
 北鎌倉女子学園
×
×
 慶應義塾
×
×
×
×
 向上
×
×
×
 湘南工科大学附属
×
 相洋
×
 立花学園
×
×
 桐蔭学園
×
×
×
 東海大学付属相模
×
×
 桐光学園
×
×
×
×
 藤嶺学園藤沢
×
 日本女子大学附属
×
×
×
×
 日本大学藤沢

×
×
 平塚学園
×
×
 武相
×
 法政大学女子
×
×
×
×
 山手学院
×
×
×
 横須賀学院
×
×
 横浜
×
×
 横浜隼人
×
×
※鎌倉学園の書類選考は他校との併願受験が可能。
※△は受け入れているが、枠は明示されていないことを示します。
     

■ 〔表4〕 一般受験(オープン)を実施する首都圏のおもな国・私立高校 (2010年度の例)
   併願などの制度もある高校  併願などの制度がない高校
男子校
鎌倉学園、藤嶺学園藤沢、藤沢翔陵、武相、横浜 海城、開成、慶應義塾、慶應義塾志木、巣鴨、筑波大学附属駒場、法政大学第二、早稲田大学高等学院
女子校
鎌倉女子大学、北鎌倉女子学園、聖和学院、緑ヶ丘女子、横浜国際女学院翠陵、横浜山手女子 慶應義塾女子、日本女子大学附属、法政大学女子
共学校
アレセイア湘南、鵠沼、光明学園相模原、湘南工科大学附属、相洋、橘学苑、桐蔭学園、日本大学藤沢、山手学院、横須賀学院、横浜清風、横浜創英、横浜創学館 青山学院、筑波大学附属、東京学芸大学附属、東京工業大学附属科学技術、桐光学園、早稲田実業
※鎌倉学園は併願可能な書類選考を実施。
※桐蔭学園・横浜山手女子・横浜清風は併願と同日に実施。
★ 公立高校第一志望合格のカギは私立高校の組み入れ方

高校受験組み立てパターンかつての神奈川県の公立高校入試は公立1校、押さえの私立1校で高校受験に臨むのが主流でした。しかし、全県一学区制開始以降、公立高校の選択肢が広がったことや進学校を中心にチャレンジ志向が高まっていることもあり、公立高校と国・私立高校を組み合わせた右の〔表5〕のような受験パターンが考えられるようになっています。このAさんの希望進学先は「3年後の大学進学に有利な高校、できれば大学合格実績の良い県内の進学重点校」です。第一希望を進学重点校、押さえ校を桐蔭学園(B方式第1回)、一般受験(オープン)で東京都内にある国立東京工業大学附属科学技術に挑戦することにしました。この時点で併願の桐蔭学園の合格はほぼ約束されていますから、 Aさんは進学重点校と東京工業大学附属科学技術に安心して挑戦することができます。現在の志望優先順位を整理すると、進学重点校>東京工業大学附属科学技術>桐蔭学園となります。もし挑戦校の東京工業大学附属科学技術が不合格だった場合、その段階で合格が確実でない進学重点校から安全圏の別の公立校に変更するという選択肢もあります。しかし、Aさんの希望は「大学進学に有利な高校への進学」ですから、安全圏の公立校と桐蔭学園の大学合格実績を比較した場合、桐蔭学園>安全圏の公立となり、志望優先順位は進学重点校>桐蔭学園>安全圏の公立となり、Aさんは後期選抜で進学重点校合格を目指して最後まで努力を続けることになります。

★何を重視するのか、優先順位をつけよう

受験組み立てパターンを考える際には、①何を最も重視するのか、②そのために国・私立高校をどう組み入れるのかが大切になるといえます。このとき、受験生自身だけでなく、ご家族も含めて優先順位をよく話しあっておくことが必要です。上記のAさんの場合は「大学進学に有利な高校、できれば県内の進学重点校に進学したい」と優先順位が明確であったため、挑戦校から押さえ校まで組み込んだ受験パターンを作ることができました。
各私立高校の2010年度入試の選考基準が明らかになるのは10月下旬頃からです。入試日程も考え合わせ、第一志望校合格のために最良の受験パターンを組み立てていきましょう。中萬学院各スクールでは、10/10(土)より順次「高校入試対策説明会」を実施します。また10/25(日)には横浜そごう9F新都市ホールにて「中萬学院主催私立高校入試相談会2009」を開催します。みなさんの受験校決定に欠かせない最新重要情報をお伝えします。ぜひ、足をお運びください。


 
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