入試最前線
2009年5月21日号
>> 「2009年度 神奈川県公立高等学校入学者選抜学力検査の結果」のポイント

4月下旬、神奈川県教育委員会は2009年度公立高校入学者選抜の結果を公表しました。今回の入試最前線では合格者平均点から2009年度入試をあらためて振り返るとともに、各教科の先生方による共通問題についての分析とアドバイスをお伝えします。

■ 2009年度全県共通問題実施結果

 〔表1〕 公立高校入学者選抜学力検査の結果(共通問題)
 年度  教科(50点満点)
英語
数学
国語
理科
社会
 2009
36.7
32.2
39.2
33.5
30.9
 2008
33.5
31.1
34.8
32.3
35.4
+3.2
+1.1
+4.4
+1.2

-4.5

※差は2009年度-2008年度の数値です。 
 >> 全教科の教科別得点分布はこちらから(PDFファイル)

〔表1〕は神奈川県教育委員会が公表した学力検査の結果について、共通問題の合格者平均点と教科別得点分布をまとめたものです。2009年度と2008年度ともに教科別の合格者平均点はすべての教科で30点台となっていますが、2008年度と比較し、平均点が大きく変化したのは社会と国語です。社会は4.5ポイントの下降、国語は4.4ポイントの上昇です。得点ゾーン別の割合をあらわすグラフの傾斜は、教科ごとに異なります。教科ごとに前年度入試と比較ができるよう、右のようにまとめました。見方の一例をご紹介します。国語では合格者全体の平均点が4.4ポイント上がっているだけでなく、もっとも多くの合格者が集中している得点ゾーンが36~40点から41点~45点に変化しています。このように細かく見ていくと、得点ゾーン別の割合数値はその年の問題難度により、毎年変化していることがわかります。また、県教委発表の資料では合格者平均点と得点ゾーン別割合のほかに、各教科別の問題内容や設問別正答率、実施結果の概要もまとめられています。設問別正答率はこれから過去問題を解く際に自分の間違えた部分と照らし合わせたりと、指標の一つになりますから、ぜひ自身で資料を確認してみましょう。

神奈川県公立高等学校入学者選抜学力検査の結果
県教委公表資料:PDFファイル 
>> 2009年度をみる    
>> 2008年度をみる


共通問題の実施結果を見る上で注意すべき点は、「公表された合格者平均点は独自入試実施校を除く全ての学校の平均値である」ということです。高校別に見ていくと、〔表2〕のように全県平均点とは数値が大きく異なっています。たとえば2009年度厚木の英語平均は48.6点。全県平均は36.7点ですから、11.9ポイントの開きがあります。また、同じ旧学区内の高校である海老名と比較すると厚木の方が2.4ポイント高いというように、高校間で合格者平均点に差があることもわかります。このように高校ごとの合格者平均点は全県平均とは異なるということを覚えておきましょう。

 〔表2〕 2009年度共通問題実施校 高校別合格者平均点の例
 
※KKS神奈川県高校進学データサービス主催「神奈川全県模試」受験者の追跡調査結果に基づきます。

 旧学区名
 高校名
 教科(各50点満点)
英語
数学
国語
理科
社会
5科合計

 横浜西部

 希望ヶ丘
48.6
43.4
46.6
46.2
42.8
227.5
 松陽
47.0
42.0
44.1
41.9
39.6
214.6
 横浜臨海
 横浜緑ヶ丘
48.6
44.2
47.4
46.5
42.8
229.6
 市立金沢
47.1
40.9
45.0
43.5
39.6
216.2
 横浜北部
 川和
48.4
43.7
47.3
46.1
42.8
228.3
 市ヶ尾
46.7
40.5
45.5
43.5
39.1
215.3
 茅ヶ崎
 茅ヶ崎北陵
48.0
42.8
45.5
44.9
43.0
224.2
 鶴嶺
46.1
39.1
44.1
40.1
36.3
205.3
 秦野伊勢原
 秦野
46.5
41.5
44.3
43.0
40.6
215.9
 伊志田
42.8
36.6
43.4
39.3
35.7
197.8
 厚木海老名愛甲
 厚木
48.6
45.2
47.8
47.2
43.1
231.9
 海老名
46.2
40.8
45.6
43.2
39.3
215.1
 大和座間綾瀬
 大和
48.2
44.7
46.9
45.4
42.1
227.2
 座間
45.0
40.1
44.5
43.9
38.1
211.6

 

次に、全県共通問題の教科別分析をお伝えします。中萬学院の教科の先生の見解とアドバイスをまとめました。ぜひ、これからの学習の参考にしてください。

 難度は昨年並み。基本的な事柄を幅広く確実に身に付けることが必要。

リスニング・文法・図や表の読み取り・長文読解が例年通りバランスよく出題されています。リスニングの語彙数は、07年310語・08年325語・09年307語でほぼ例年通り。長文を含む読解問題で使用された語彙の総数は07年1126語・08年1071語・ 09年1189語で若干の増。中1から中3までの基本的な学習内容が満遍なく出題されているため、中1からの基礎の積み重ねをしっかりしていないと高得点を取るのは難しい。但し、昨年まで正答率が低かった「適語挿入(記入式)」の問題がなくなったため、差が開く問題は出題されていません。ここ数年の出題傾向に変更がないため、教科書を中心に基本的な事柄を幅広く確実に身につけ、過去問題を繰り返し解いてパターンを覚えてしまうとよいでしょう。

 
 ポイントになる単元は多くの類題にふれ、解法パターンを身につけていこう。

問1~問2で出題された中1~中3の基本的な計算の平均正答率(県教委発表)は76.2%。計算は常に100%を目指して。また、今年出題された関数の変域・平方根の利用については正答率が60%台です。類題演習を繰り返してここで差をつけられるよう準備していきましょう。また、2009年度とくに正答率の低かった設問は、円周角を求める問2 (オ)〔14.1%〕、問7 (イ)〔8.4%〕と、展開図を用いた問6 (ア)〔28%〕,(イ)〔11.4%〕などです。これらの単元も含めた、重要ポイントとなる解法手順の項目は以下の通りです。

 
○ 関数 ・・・・・・・・・・・ 2点を通る直線の式が求められること。変化の割合を求める公式をきちんと覚えておくこと。
○ 確率 ・・・・・・・・・・・ 作業のスピードが求められます。数多くのパターンに触れて、数え上げる練習を積んでおくこと。
○ 立体図形 ・・・・・・・

空間内の2点間の距離を求める手順を,類題演習を通してきちんと身につけておくこと。30°,45°,60°,120°,135°,150°といった角度を見たら、三角定規を用いて辺の長さを求められるようにしておくこと。

これらの単元を中心に、2学期以降の入試対策で数多くの類題にふれ、解法パターンを身につけていきましょう。
 
 新傾向の出題もみられ、全体的に難度はアップ

問一:漢字の読み取りの「秀逸」と書き取り「功績」が、受検生の使用頻度が高くないため正解率が低く、(ウ)では、昨年出題のあった、グラフを含む生徒の発表原稿の文章が今年も出題されました。その中で、新傾向の「一文を二文に分けた文の空欄に入る言葉を書く」問題の正答率が高くなく、受検生にとって難度が高目だったと言えます。問二:小説文の読解は、昨年並みの文章量(約4500字)と設問難度で、受検生には解きやすかったと言えますが、文章内容をまとめたものを答える(キ)の正解率は低かったです。問三:論説文は、文章量が昨年並みの約3300字で、人間と森林の共存について論じた文章でしたが、読み取りやすい内容でした。また、選択肢のそれぞれの文の長さが、昨年より短く読みやすくなり、記述問題も、指定字数が昨年より10字増えたものの、基本的な問題だった言えます。一方、筆者の考えを読み取る(ク)は、正解率が低く、受検生にとっての難度は高かったと言えます。問四:古文は、文章量が昨年よりも少し減った約560字の、江戸時代の物語文でした。昨年出題された本文中の空欄に心情を表す熟語を挿入する問題は、今年は出題されていません。また、本文中に現代語訳として施されている「傍注」は5箇所(昨年は8箇所)ですが、大意はむしろつかみやすくなったと言えます。文章内容全体の把握の問題の正解率も高く、全体的に解きやすかったと言えます。 全体として、選択肢の文に惑わされずに本文との照合をていねいに行うこと、要点をとらえて段落ごとのつながりを重視して読むといった、国語学習の王道的訓練を積んでおけば答えられる基本的な入試問題だったと言えます。

 
各単元について偏りのない知識を習得することが大切。また、長い問題文を読みこなせるよう過去の入試問題などで練習をつもう!

2009年の理科は以下のような問題が目立ちました。

 
1.
計算を必要とする問題。
2.
複数の知識を組み合わせて解く問題。
3.

実験の手順とその意味を正確に身につけていないと解けない問題(まぎらわしい選択肢がある)。

難問や奇問、重箱の隅をつつくような問題は無く、計算力や正確な知識、問題読解力といった王道の応用力を求める良問が中心でした。この傾向は2010年も続くと思われます。高得点を取るには、定番問題だけでなく幅広い知識を身につけること、入試独特の長い問題文を読みこなす力を意識した学習を行なうこと(過去の入試問題を、印を残しながら解く練習をする、など)が大切です。

 
 地理・歴史・公民まんべんなく知識を身につけることが大切。今から総合問題にたくさん触れておこう!

分野別の配点は、地理が16点、歴史が18点、公民が15点、歴史・公民融合が1点となっており、1年・2年で学習した地理・歴史が3分の2を占めています。地理・歴史は、長い期間に単元を区切って学習したため、抜けや忘れが多いだけでなく、全体像の流れが理解できていない恐れがあります。総合的な問題に触れることで、知識の全体像や流れを整理してみよう。また、その中で自分にとって弱点となっている単元を発見し、集中的に補強しておこう。最初から順に復習するよりも、このやり方のほうが効果的です。

 

■ 公立高校の特色や魅力を知ろう

2009年度は市立横浜サイエンスフロンティア高校の誕生、公立中高一貫校の開校など大きな公立高校改革がありました。2010年春には全日制3校と定時制1校の県立高校が開校、2000年度から始まった県立高校改革は終了となります。各校の選抜要項の発表はもう少し先ですが、市立高校の一つである金沢高校では文理特進コース(仮称)の設置、また南高校の中高一貫校再編計画のニュースがすでに新聞等で報道されており、今後の詳細発表にも注目したいところです。また、各校の特色化も引き続き進められています。神奈川総合産業高校は文部科学省より「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」の指定を新たに受けました。柏陽(2002~2006年度)、慶應義塾(2003~2007年度)、西湘(2005~2009年度)につづいて県内では4校目となります。指定期間は、2009年度から2013年度までの5年間です。県内にはさまざまな魅力をもった公立高校がおよそ160校あります。これからオープンキャンパスや学校説明会などが行われます。それぞれの高校の魅力や情報を知る絶好の機会。直接足を運んで、自分の目で見て確かめてみましょう。次回の高校入試最前線では、独自入試実施校の合格者平均点と分析をお伝えする予定です。


 
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