入試最前線
2009年3月26日号
>> 2009年度神奈川県公立高校入試総括

昨年後半からの急激な景気後退の影響は高校入試にも波及し、2009年度はとくに公立高校の人気が上昇、厳しい入試状況となりました。今回の入試最前線では、2009年度の神奈川県公立高校入試を振り返ります。

★神奈川県全体の入試状況
2009年度公立中学校卒業予定者数は65,337名で前年度よりおよそ800名の増加、これに対し公立高校当初募集定員(全日制一般募集)は39,890名と450名程度の微増にとどまりました。前期・後期両選抜の合格者数は40,293名で当初募集定員よりも400名程度多く合格しました。公立中学校卒業予定者に対する公立高校合格者の割合は61.7%で、この数字は前年度とほぼ同じです。毎年、公立高校の募集定員はその年の公立中学校卒業予定者数の増減の影響を受けます。2010年度は卒業予定者数が2009年度よりも3,000名近く増えるため、それに伴い募集定員の増加が予想されます。2005年の全県一学区制開始以降、中学校所在地と異なる地域への進学希望率が高まっています。「人気の高い高校が集まっている」、また「複数路線が乗り入れ、交通の利便性の高い地区」では生徒の動きがとくに大きくなっており、神奈川県教育委員会が昨年12月に発表した通学区域ごとの志望動向では、旧厚木海老名愛甲・旧鎌倉藤沢・旧横浜中部に希望者が多く集まる傾向がみられました。それでは、前期選抜・後期選抜それぞれについて見ていきましょう。

★ 後期選抜実質倍率は1.39倍。現行の入試制度開始以来降過去最高に!
2009年度前期選抜実施校は計160校。前期募集定員18,698名に対して受検者数41,194名、合格者数は18,836名で平均実質倍率は2.19倍でした。前期選抜が開始されて以来、年々下降していた倍率は昨年度とほぼ同じ数字で着地しており、ほぼ下げ止まったと考えられます。〔表1〕は2009年度前期選抜の実質倍率ランキングです。前期選抜募集率50%の高校が多数並ぶ中、特出した高倍率で大きな話題となったのが市立横浜サイエンスフロンティア高校です。前期選抜の募集定員71名に対し受検者370名、実質倍率は5.21倍でした。初年度募集であるにもかかわらず、前期選抜合格者の内申点も非常に高かったとみられ、学力向上進学重点校や旧学区トップ高校並みのレベル・人気であったことがうかがえます。このほか、学力試験を課さない新たな選抜方法で選考を行ったクリエイティブスクールでも多くの受検者を集め、高倍率となりました。

 

 〔表1〕 2009年度前期選抜 実質倍率順ランキング(全日制一般募集)
 学校名  学科名
全体の
募集定員

前期選抜
募集率(%)

前期選抜
募集定員
志願者
受検者
合格者
実質倍率
 市立横浜サイエンスフロンティア
理数
237
30
71
372
370
71
5.21
 白山
美術
39
50
19
90
89
20
4.45
 新磯☆
普通
117
50
58
240
240
60
4.00
 市立橘
国際
39
50
19
73
73
20
3.65
 神奈川総合
国際文化
50
50
25
89
89
25
3.56
 向の岡工業
機械
78
50
39
138
138
39
3.54
 磯子工業
機械
78
50
39
135
135
39
3.46
 田奈★
普通
236
80
188
642
640
188
3.40
 磯子工業
建設
39
50
19
68
68
20
3.40
 市立横浜商業
国際
35
30
10
34
34
10
3.40
 横浜平沼
普通
317
30
95
322
321
95
3.38
 市立川崎総合科学
デザイン
39
50
19
64
64
19
3.37
 川和
普通
316
30
94
317
306
94
3.26
 市立川崎
生活科学
39
50
19
61
61
19
3.21
 相原
畜産科学
39
50
19
62
62
20
3.10
 市立橘
普通
157
50
78
246
243
79
3.08
 釜利谷★
普通
273
80
218
672
669
218
3.07
 小田原
単位制普通
317
20
63
195
194
64
3.03
 中央農業
生産流通
78
50
39
118
118
39
3.03
 相原
環境土木
39
50
19
60
60
20
3.00
 弥栄
芸術・美術
39
50
19
57
57
19
3.00
☆は再編対象校、★はクリエイティブスクールをあらわします。


続いて後期選抜です。実施校は計159校で募集定員21,193名に対して受検者数は29,845名、合格者数は21,457名でした。平均実質倍率は1.39倍で、現行の入試制度開始以来、後期選抜の最高倍率となりました。景気後退の影響で「公立高校に進学したい」という受験生が例年以上に多かったことも要因の1つであり、それは公立高校の二次募集や定時制募集が高倍率化したことからもうかがえます。公立高校進学希望者のうち、前期選抜を回避して後期選抜のみに挑んだ生徒は15%程度だったと推測できます(前期選抜不合格者すべてが後期選抜を受検したと考えた場合)。この数字はここ数年で少しずつ増えています。前期選抜の合否は内申点によって大きく左右されます。合格に必要な内申数値に届かないと判断した受験生は、前期選抜受検を回避して得点力で勝負できる後期選抜に備える、このようなケースが一般的になってきたといえるでしょう。

〔表2〕は2009年度後期選抜の実質倍率ランキングです。クリエイティブスクール3校がランクインしているほか、市立横浜サイエンスフロンティアが前期選抜に続いて高倍率となりました。

 

 〔表2〕 2009年度後期選抜 実質倍率順ランキング(全日制一般募集)
 学校名  学科名
全体の
募集定員

前期選抜
募集率(%)

後期選抜
募集定員
2/13
志願者
受検者
合格者
実質倍率
 釜利谷★
普通
273
80
55
240
236
62
3.81
 田奈★
普通
236
80
48
182
175
52
3.37
 向の岡工業
機械
78
50
39
95
94
40
2.35
 白山
美術
39
50
20
45
45
20
2.25
 磯子工業
機械
78
50
39
90
90
40
2.25
 磯子工業
建設
39
50
20
43
42
20
2.10
 永谷
普通
277
50
139
292
286
139
2.06
 商工
情報処理
39
50
20
41
41
20
2.05
 向の岡工業
電気
78
50
39
81
80
40
2.00
 向の岡工業
建設
78
50
39
81
80
40
2.00
 神奈川総合
国際文化
50
50
25
53
51
26
1.96
 川崎工業
化学
39
50
20
40
39
20
1.95
 大楠★
普通
237
70
72
150
146
75
1.95
 白山
普通
236
50
118
237
232
120
1.93
 新磯☆
普通
117
50
59
111
109
59
1.85
 藤沢☆
普通
117
50
59
111
109
59
1.85
 大和
普通
237
50
119
228
225
123
1.83
 市立横浜サイエンスフロンティア
理数
237
30
166
326
308
169
1.82
 川崎工業
電気
78
50
39
73
71
39
1.82
 横浜翠嵐
普通
277
30
194
545
392
216
1.81
 市立橘
国際
39
50
20
39
38
21
1.81
 岸根
普通
276
50
138
256
249
138
1.80
 市立川崎
普通
157
50
79
145
143
80
1.79
☆は再編対象校、★はクリエイティブスクールをあらわします。

普通科では横浜翠嵐の受検状況が他校と大きく異なります。2/13時点では志願者が500名を超え、志願倍率は2.81倍でした。横浜翠嵐は東京学芸大学附属や慶應義塾などの難関国・私立高校と併願する受験生も多いため、それらの高校の受験結果によってここ数年、後期選抜当日に多くの欠席者が出ています。今年度の欠席者は過去最高の153名、受検後辞退者も13名おり、実質倍率は1.81倍でした。横浜翠嵐を含む独自入試実施校(学力向上進学重点校)の受検状況は〔表3〕にまとめました。昨年度は独自入試実施初年度で敬遠された光陵と多摩の2校で受験生が戻って高倍率となっているほか、ほとんどの学校で県平均倍率1.39倍を上回る高倍率となっています。独自入試という高いハードルを避けることなく、あえてチャレンジする受験生が増えているあらわれといえるでしょう。中学生の皆さんにとっては独自入試レベルを学力到達目標としていくことが、高校の選択肢を広げ、さらには上位大学への道を拓くことにつながるといえます。2010年度は市立横浜サイエンスフロンティア高校が独自入試を導入する予定となっています。

 

〔表3〕 2009年度後期選抜 学力向上 進学重点校の受検状況(全日制一般募集)
 学校名
学科名
全体の
募集定員
前期選抜
募集率(%)

後期選抜
募集定員

2/13
志願者
受検者
欠席+
辞退者

合格者

実質倍率
2008年度
実質倍率
 横浜翠嵐
普通
277
30
194
545
392
166
216
1.81
1.95
 平塚江南
普通
317
30
222
287
282
5
226
1.25
1.16
 横浜国際
国際情報
136
50
68
107
101
6
72
1.40
1.53
 小田原
単位制普通
317
20
254
304
301
5
259
1.16
1.36
 鎌倉
普通
277
30
194
305
299
7
194
1.54
1.30
 湘南
普通
317
30
254
420
376
51
257
1.46
1.64
 柏陽
普通
277
30
194
360
341
22
197
1.73
1.65
 横須賀
普通
277
30
194
281
276
5
194
1.42
1.33
 光陵
普通
236
30
166
271
253
19
169
1.50
1.22
 多摩
普通
277
40
167
316
264
56
170
1.55
1.24

4月は新学年・新学期のスタートです。進級し、学校行事や部活動などで忙しい日々が始まりますが、学習面でも気持ちを新たに、目標を持って新規単元の学習に取り組みましょう。中萬学院では3/26(木)から春期講習がスタートしました。新学年に向けて最高のスタートが切れるよう、みなさんの学習をしっかりとサポートしていきます。

 

 
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