入試最前線
2008年9月30日号

>> 私立高校の入試制度と受験組み立てパターン

新学期がスタートしました。入試対策特別授業も始まり、中3生はいよいよ本格的な受験モードに突入です。今月は私立高校入試を知り、公立高校との併願パターンについて考えてみましょう。
★神奈川県内私立高校の入試制度
はじめに私立高校の入試制度について確認しておきましょう。前期選抜と後期選抜で実施される公立高校に対し、私立高校の入学者選抜はやや複雑です。神奈川県内の私立高校入学者選抜には「推薦入試」「書類選考」「一般入試」3つの方法があり、さらに推薦入試は2つ、一般入試は3つに分類できます。多くの高校がこれらの中から2種類以上の方法を採用しています。

■表1 神奈川県 私立高校入試制度一覧

制度の呼称
内申等の基準

筆記試験

他校との併願受験の可否

推薦入試
推薦Ⅰ
×
 できない
推薦Ⅱ
×
 公立の前期のみできる
 書類選考
×
 一般にはできない
一般入試
単願
 一般にはできない
併願
 一般に公立高校や他校の一般受験を受験できる
一般受験(オープン)
×
 できる


〔表2〕は私立高校が採用している入試制度の例(2008年度)です。ここで取り上げた高校だけでも実施状況に違いがあることがわかります。公立高校は内申を選抜材料の一つにしていますが、私立高校では内申等必要な基準がある場合は、『内申数値○以上』とクリアするべき基準値が事前に提示されます。推薦入試の中の「推薦Ⅰ」はその高校を第一志望とする生徒が受験でき、試験は面接のみ(作文を課す高校もある)で筆記試験は行われないのが一般的です。ほとんどの学校の場合、中学と高校の間で事前に入試相談が行われるため、内申数値などの出願資格(打診基準)を満たしていれば、ほぼ合格となります。ただし、慶應義塾や日本女子大学附属のように、出願資格を満たしていても不合格者が出る高校もあります。「推薦Ⅱ」は2004年度から導入された制度で、公立高校の前期選抜とのみ併願が可能です。前期選抜を不合格になった場合、または辞退した場合はその私立高校に進学することが条件となります。推薦Ⅰと同様、中学と高校の間で事前に入試相談が行われます。「書類選考」は推薦入試と同様に面接や筆記試験を行わず、調査書などの出願書類のみで選考されます。県内では法政大学第二と法政大学女子などがこの入試を実施しています。なお、昨年度まで桐蔭学園や鎌倉学園などで行われていた併願可能推薦(推薦入試の一つで公立高校の後期選抜などとの併願も可能)は、今年度入試では実施されません。

続いて一般入試です。一般入試には3つの種類があり、すべて筆記試験が行われます。「単願」は「単願確約」または「専願」とも呼ばれ、その高校を第一志望とする生徒が対象です。筆記試験はありますが、内申などの出願資格(打診基準)を満たしていればほぼ合格します。公立高校を第一志望とする生徒が押さえ校獲得のために受験するケースが「併願(併願確約)」です。こちらも筆記試験は必須ですが、推薦入試や一般入試の単願同様に中学校と高校の間で事前相談が行われるため、打診基準を満たしている生徒であれば不合格となる可能性はほとんどありません。県内では鎌倉学園・慶應義塾・桐光学園・日本女子大学附属・法政大学第二・法政大学女子といった難関上位校をのぞく大部分の高校で実施されています。県外の国・私立高校にも併願制度の実施校はありますが、県内ほど多くはありません。最後は「一般受験」です。この制度は「オープン」とも呼ばれます。打診基準はなく、試験当日の得点結果で選抜が行われ、実力のみで合否が決まります。県内および県外の国・私立難関上位校の多くで実施されており、何校でも受験できます。

■表2 各高校が採用している入試制度の例 (2009年度)
    
高校名 推薦入試
書類選考
一般入試
推薦Ⅰ
推薦Ⅱ
単願
併願
一般受験
(オープン)
 鎌倉学園
×
×
×
×
 北鎌倉女子学園
×
×
 慶應義塾
×
×
×
×
 向上
×
×
×
 湘南工科大学附属
×
 相洋
×
 立花学園
×
×
 桐蔭学園
×
×
×
 東海大学付属相模
×
×
 桐光学園
×
×
×
×
 藤嶺学園藤沢
×
×
 日本女子大学附属
×
×
×
×
 日本大学藤沢

×
×
 平塚学園
×
×
 武相
×
 法政大学女子
×
×
×
×
 山手学院
×
×
×
 横須賀学院
×
×
 横浜
×
×
 横浜隼人
×
×
     ※鎌倉学園の書類選考は他校との併願受験が可能。
     ※△は受け入れているが、枠は明示されていないことを示します。
     
■表3 一般受験(オープン)を実施する首都圏のおもな国・私立高校 (2009年度の例)

   併願などの制度もある高校  併願などの制度がない高校
男子校
鎌倉学園、藤嶺学園藤沢、藤沢翔陵、武相、横浜 海城、開成、慶應義塾、慶應義塾志木、巣鴨、筑波大学附属駒場、法政大学第二、早稲田大学高等学院
女子校
鎌倉女子大学、北鎌倉女子学園、聖和学院、緑ヶ丘女子、横浜国際女学院翠陵、横浜山手女子 慶應義塾女子、日本女子大学附属、法政大学女子
共学校
アレセイア湘南、鵠沼、光明学園相模原、湘南工科大学附属、相洋、橘学苑、桐蔭学園、日本大学藤沢、山手学院、横須賀学院、横浜清風、横浜創英、横浜創学館 青山学院、筑波大学附属、東京学芸大学附属、東京工業大学附属科学技術、桐光学園、早稲田実業
※鎌倉学園は併願可能な書類選考を実施。
※桐蔭学園・横浜山手女子・横浜清風は併願と同日に実施。

★およそ9割が公立高校への進学を希望、実際に進学できるのは7割程度
進路希望調査結果と入学状況調査結果の比較 神奈川県では公立中学出身の生徒の多くが公立高校進学を目指します。しかし、公立高校が第一希望であっても私立高校を組み入れて受験パターンを考えるのが一般的で、「どのように組み入れるか」がポイントになるといえます。〔表4〕をご覧ください。神奈川県教育委員会が公表している「公立中学校卒業予定者の進路希望調査結果」と「公立中学校卒業者の入学状況調査結果」の数字を比較したものです。公立中学校卒業予定者のうち、進路希望調査時に県内公立高等学校への進学を希望した生徒は87.1%。しかし、入学状況調査の結果を見ると、県内公立高校に実際に進学した生徒は68.5%にとどまり、県内および県外の国・私立高校への進学率は31.4%と大きく増えています。公立高校希望者間の競争が厳しく、進学希望者のうちおよそ20%は別の進学先へ進んだことがわかります。公立高校が第一志望であっても、それ以外の選択肢についてしっかりと考え、準備しておく必要があるといえます。

★公立高校第一志望合格のカギは私立高校の組み入れ方
■表5 Aさんの受験組み立てパターン  
は一般(オープン)も受験する場合
≪Aさんの受験校選択のポイントと成績≫
・高校卒業後の大学進学に有利な高校、
  できれば大学合格実績の良い県内の進学重点校に進学したい。

・中2と中3を合わせた内申数値は125、模試偏差値は65前後
入試日程 受験校
1月
9日
東京工業大学科学技術(推薦)
 
10日
東京工業大学科学技術(推薦)合格発表
2月
11日
桐蔭学園(普通科B方式第1回)
 
11日
 桐蔭学園(普通科B方式第1回)合格発表
  
13日
東京工業大学科学技術(オープン)
   
16日
東京工業大学科学技術(オープン)合格発表
  
19日
進学重点校後期選抜
 
27日
進学重点校後期選抜 合格発表
※東京工業大学科学技術の推薦入試は数学と理科(第1分野)の 学力検査あり。
かつての県内公立高校入試は公立1校、押さえの私立1校で受験校を決定するのが主流でした。しかし、全県一学区制で公立高校の選択肢が広がったことや進学重点校の誕生などでチャレンジ志向が高まっていることもあり、以下のAさんのような受験パターンも考えられるようになりました。〔表5〕をご覧ください。このAさんの希望は「3年後の大学進学に有利な高校、できれば大学合格実績の良い県内の進学重点校」です。第一希望を進学重点校、押さえ校を桐蔭学園(B方式第1回)、一般受験(オープン)で東京都内にある国立東京工業大学附属科学技術に挑戦します。この時点で併願の桐蔭学園の合格はほぼ約束されていますから、 Aさんは進学重点校と東京工業大学附属科学技術に安心して挑戦することができます。志望優先順位を整理すると、進学重点校>東京工業大学附属科学技術>桐蔭学園となります。もし挑戦校の東京工業大学附属科学技術が不合格だった場合、その段階で合格が確実でない進学重点校から安全圏の別の公立校に変更するという選択肢もあります。しかし、Aさんの希望は「大学進学に有利な高校への進学」ですから、安全圏の公立校と桐蔭学園の大学合格実績を比較すると、桐蔭学園>安全圏の公立となり、志望優先順位は進学重点校>桐蔭学園>安全圏の公立となり、Aさんは後期選抜で進学重点校合格を目指して最後まで努力を続けることになります。
★何を重視するのか、優先順位をつけよう
受験組み立てパターンを考える際には、①何を最も重視するのか、②そのために国・私立高校をどう組み入れるのかが大切になるといえます。このとき、受験生自身だけでなく、ご家族も含めて優先順位をよく話しあっておくことが必要です。上記のAさんの場合は「大学進学に有利な高校、できれば県内の進学重点校に進学したい」と優先順位が明確であったため、挑戦校から押さえ校まで組み込んだ受験パターンを作ることができました。
各私立高校の2009年度入試の選考基準が明らかになるのは10月下旬頃からです。入試日程も考え合わせ、第一志望校合格のために最良の受験パターンを組み立てていきましょう。中萬学院各スクールでは、10/11(土)より順次「高校入試対策説明会」を実施します。また10/26(日)には横浜そごう9F新都市ホールにて「中萬学院主催私立高校入試相談会2008」を開催します。みなさんの受験校決定に欠かせない最新重要情報をお伝えします。個別進路面談もスタートしますから具体的な組み立てパターンについて個人担任と話し合ってみましょう。

 
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