入試最前線
2008年5月20日号
>> 神奈川県教育委員会「2008年度神奈川県公立高等学校入学者選抜学力検査の結果」を公表!
4月下旬、神奈川県教育委員会は2008年度に実施された公立高校入学者選抜の結果を公表しました。今回の入試最前線では合格者平均点から2008年度入試をあらためて振り返るとともに、各教科の先生方による共通問題についての分析とアドバイスもお伝えします。
■2008年度全県共通問題実施結果
  ■表1 公立高校入学者選抜学力検査の結果(共通問題)
 年度  教科(50点満点)
英語
数学
国語
理科
社会
 2008
33.5
31.1
34.8
32.3
35.4
 2007
33.1
33.4
38.9
35.5
31.6
+0.4
-2.3
-4.1
-3.2

+3.8

   ※差は2008年度-2007年度の数値です。
  >>教科別得点分布はこちら (全教科のPDFを見る)
〔表1〕は神奈川県教育委員会が公表した学力検査の結果ついて、共通問題の合格者平均点と教科別得点分布をまとめたものです。2008年度と2007年度ともに教科別の合格者平均点はどの教科も30点台となっていますが、得点ゾーン別の割合をあらわすグラフの傾斜には、教科ごとに違いが見られます。2007年度と比較し、2008年度もっとも大きな変化が見られたのは国語です。合格者全体の平均点が4.1ポイント下がっているだけでなく、合格者のおよそ1/4が集中している得点ゾーンが36点~40点に下がっています。得点ゾーン別の割合数値はその年の問題の難度や正答率が大きく影響します。県教委発表の資料の中には、合格者平均点と得点ゾーン別割合だけでなく、各教科別の出題内容と設問別正答率もまとめられています。設問別正答率はこれから過去問題を解く際に自分の間違えた部分と照らし合わせたりと、指標の一つになりますから、自身で資料を確認してみましょう。 
神奈川県公立高等学校入学者選抜学力検査の結果(PDF) 
>>2008年度をみる     >>2007年度をみる



 ■表2 2008年度共通問題実施校 高校別合格者平均点の例
 ※KKS神奈川県高校進学データサービス主催「神奈川全県模試」
  受験者の追跡調査結果に基づきます。
高校名 教科(各50点満点)
英語
数学
国語
理科
社会
5科合計
 希望ヶ丘
47.8
45.6
44.2
44.9
47.0
229.6
 松陽
44.9
40.3
42.7
39.8
44.0
211.9
 横浜緑ヶ丘
48.0
45.6
44.2
44.7
47.5
230.1
 市立金沢
45.6
42.6
42.2
41.4
45.4
217.1
 川和
47.5
45.3
44.1
44.3
47.1
228.3
 市ヶ尾
45.0
41.9
41.2
40.3
43.7
212.1
 茅ヶ崎北陵
46.7
44.5
42.9
42.0
45.9
221.9
 鶴嶺
44.9
39.9
38.6
37.8
42.4
203.6
 秦野
44.4
40.8
41.0
40.5
44.1
210.9
 伊志田
40.2
39.0
38.1
37.2
40.0
194.4
 厚木
48.1
45.7
44.9
44.8
46.9
230.5
 海老名
44.9
42.4
40.1
41.4
44.0
212.8
 大和
46.9
43.8
43.4
42.3
45.7
221.8
 座間
42.8
40.9
38.5
40.1
43.4
205.6

共通問題の実施結果を見る上で注意すべき点は、公表された合格者平均点は独自入試実施校を除く全ての学校の平均値であるということです。高校別に見ていくと、〔表2〕のように大きく数値が異なっています。たとえば2008年度横浜緑ヶ丘の英語平均は48.0点。全県平均は33.5点ですから、14.5ポイントの差があります。また、同じ旧学区内の高校である市立金沢よりも2.4ポイント高いというように、トップ高校と2番手高校との間にも合格者平均点に差があることがわかります。
このように高校ごとの合格者平均点は全県平均とは異なるということは覚えておきましょう。

 






次に、全県共通問題の教科別問題分析をお伝えします。前回の独自入試問題の分析と同じく、教科の先生の見解とアドバイスをまとめています。過去問を解く際など今後の学習の参考にしてください。

 難度は昨年並み。基本的な事柄を幅広く確実に身に付けることが必要。
リスニングの語彙数325語(昨年310語)、長文の全語彙数1119語(昨年1219語)、問題形式、レベルは共にほぼ昨年と同じでした。ただし、中1から中3までの基本的な文法項目が万遍なく出題されているため、平素の授業を地道に取り組んでない生徒にとっては高得点が取れない問題です。特に最後の「適語挿入(記入式)」は、昨年同様正答率が低く、この問題で差が付いています。教科書を中心に基本的な事柄を幅広く確実に身に付けることが必要です。
 
 ポイントになる単元は多くの類題にふれ、解法パターンを身につけていこう。
問1~問2で出題された中1~中3の基本的な計算の平均正答率は87.9%。正負の数・文字式の計算・展開・因数分解・平方根・2次方程式といった計算は常に100%を目指して練習しておくことが大切です。また、2008年度とくに正答率の低かった設問は、相似・三平方の定理が融合された問2 (オ)〔13.9%〕、空間での2点間の距離を求める問6(イ)〔6.0%〕、等積・変形を用いて座標を求める問3(ウ)〔22.1%〕、問7(イ)で出題された円の求角〔26.3%〕などです。
単元別にポイントとなる項目は以下の通りです。
 
○ 関数・変域・変化の割合 ・・・ 2点を通る直線の式が確実に求められるようトレーニングを積んでいくこと。
○ 確率  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 例年条件に合う場合を数えて探し出す作業力が問われる問題が出題されているため、短時間で見つけられるよう過去問題を中心に数多くの問題に触れておこう。
○ 平面図形〔問7で出題〕 ・・・・ 証明問題ばかりに気を取られずに、中2で学習した円周角の練習をこなしておくことが重要。
これらの単元を中心に、2学期以降の入試対策で数多くの類題にふれ、解法パターンを身につけていきましょう。
 
 新傾向の出題もみられ、全体的に難度はアップ。
問一(ウ)で、今までの共通問題では出題のなかった、グラフを含む生徒の発表原稿の文章が用いられました。その中で、「文中での敬語の使われ方を問う」問題や、「主語述語のねじれ(言葉の照応)を正す短文作成」の問題の正答率が低くなっており、受検生にとって難度が高かったと言えます。問二の小説文の読解は、昨年同様の文章量(約4200字)と設問難度で、受検生には解きやすかったと思われます。問三の論説文は、昨年よりも原稿用紙1枚分文章量が増え、約3300字になったことや、選択問題ではあっても、「脱文挿入」の問題が出題されたことなどが、これまでにはない出題傾向として挙げられます。また、選択肢の文も抽象的な語句による説明が多く、文章内容の理解が前提となっているとは言え、各設問の難度は上がったと言えます。問四の古文は、本文中の空欄に心情を表す熟語を挿入する問題が2001年度以来の出題として目を引きます。難度も低くありません。また、本文中に現代語訳として施されている「傍注」は8箇所で、例年よりもかなり少なくなり、大意をつかみづらくなった分、内容把握の問題の正答率の低下に影響したと言えます。
 
 幅広い知識を習得することが必要。また、答案作成力をつけていこう。
昨年度に比べて平均点は下降し、特に46点以上の得点を取った割合が大きく低下しています。これは、「水辺の生物の生息場所」など、従来あまり出題されなかった細かな知識の問題が多かったことと、ケアレスミスを誘発しやすい問題文が多かったこと、以上の2つの理由により受験生の学力層にかかわらず、取りこぼしが多かったためと考えられます。
高得点を取るには、定番問題に偏らず幅広い知識を学習することと、問題文に印を残しながら解くなど、ケアレスミスを防ぐ答案作成力を意識しながら学習することが大切です。
 
 地・歴・公民まんべんなく知識をつけることが大切。日ごろから多くの問題に触れていこう。
分野別の平均正答率は、地理分野が60%、歴史分野が65%、公民分野が64%になっており、すべての分野がまんべんなくできることが必要です。地理分野では時差や地形図の読み取りに関する問題、歴史分野では写真や時代順に並べ替える問題、地理分野や公民分野の資料を読み取る問題が得点差のつきやすいところです。日ごろから多くの問題に触れていきましょう。
 

高校名
実施回数
実施教科(各50点満点)
英語 数学 国語
横浜翠嵐
4回目
38.6
30.7

36.0

平塚江南
4回目
44.2
36.6
37.5
小田原
3回目
35.1

32.8

38.4
湘南
2回目
45.0
38.6
29.2
柏陽
2回目
43.6
36.9
38.5
横須賀
2回目
40.0
29.6
41.5
多摩
1回目
43.8
35.7
38.1
光陵
1回目
39.4
32.6
41.6
鎌倉
3回目
41.8
36.8
  
横浜国際
4回目
42.3
 
 
  
  ※各校ともに表記の教科以外は共通問題を使用。
  ※横浜国際の実施回数は旧外語短大付属からの通算です。
■2008度独自問題実施校合格者平均点
独自入試実施校の合格者平均点についても今回の県教資料で発表されています。独自入試は実施から4年が経過。2008年度は全部で10校で実施され、ほぼ出題傾向が固まった学校と傾向が変わる学校、突出して難度の高い学校と大きく3つに分類できます。出題内容にも各校さまざまな色が見られるようになってきました。それは教科別合格者平均点のばらつきからもわかります。10校すべてに共通していえることは、実施校すべての問題が3年後の大学入試に向けての基礎学力を試す内容に変わってきているという点でしょう。それは10校が2008年度より学力向上進学重点校に指定を受けていることからもうかがえます。2008年度独自入試問題の傾向と分析については前号の高校入試最前線で詳しく取り上げていますので、そちらをご覧ください。

 

■公立高校の特色や魅力を知ろう
2009年度は市立横浜サイエンスフロンティア高校の誕生、公立中高一貫校の開校など大きな公立高校改革が予定されています。選抜要項の発表はもう少し先ですが、新校開校や再編・統合といった改革を予定している高校は2009年度入試でも注目を集めそうです。また、各校の特色づくりも引き続き進められています。4月には市立桜丘が「学力向上のための研究校」に新たに指定を受けました。県内にはさまざまな魅力をもった公立高校が160校あります。今年も5/31(土)にパシフィコ横浜で『全公立展』が開催されます。それぞれの高校の魅力や情報を知る絶好の機会。ぜひ参加して、自分の目で見て確かめてみましょう。


 
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