前回は平成19年度の神奈川県公立高校入試の総括をお伝えしました。今回は独自入試を中心に、もう一度入試を振り返ってみます。 |
★受検者数からみる19年度入試
前回の高校入試最前線では前期選抜と後期選抜それぞれについて振り返りをしました。その中で、実施4回目となった前期選抜は年々受験を避ける生徒が増えていること、また後期選抜は高い競争率が続いていることをお伝えしました。学区撤廃以降交通の利便性から自宅に遠い高校を志望する、また学力上位層が旧学区にとらわれず上位校を受験する動きがみられますが、今回の入試でもこの傾向は続いているようです。右の表をご覧ください。19年度入試で前期および後期選抜を通してのべ500名以上の受検者を集めた高校は26校あり、うち7校は600名を超えました。26校中12校は旧横浜6学区に集中しています。学区別では旧横浜北部にもっとも集中しており、8校中4校(川和・市ヶ尾・元石川・田奈)で500名を超えました。旧学区トップ校を見ると18校中10校でした。 |
■「減点型」の共通入試、「加点型」の独自入試
19年度の独自入試実施校は湘南・柏陽・横須賀の3校を加え、8校になりました。右の表2をご覧ください。独自入試問題実施校の合格者平均をまとめたものです。今年で実施3年目を迎えた横浜翠嵐は後期選抜を実施した全日制165校中で唯一受検者が400名を超えました。導入前年の16年度の合格者平均点と比べると、全県共通問題では5教科ともほぼ満点に近い平均点であったのに対し、独自問題では大きく点数が下がっています。同様の傾向は、他の独自入試実施校にもみられます。
共通問題と独自入試問題はどのような点が違うのでしょう。中学校で学んだ基本知識が問われ、いかにミスをせず高得点をとるかという「減点型」にあたるのが共通問題です。一方、独自入試問題は論理的思考力や表現力が重視され、記述が多い「加点型」の入試といえるでしょう。共通問題では、ケアレスミスが合否の結果に大きな影響を与えます。独自入試では、一つでも多くの問題を解けるかが合否をわけます。
■総合的・論理的思考が問われる独自入試問題
それでは、独自入試問題の内容を今年度から実施の3校を中心に見てみましょう。まず英語です。目をひくのが長文読解問題の単語語彙数で、共通問題と比べるとどの高校でも2倍以上になっています。3年間で身につけた文法力をもとに、限られた時間の中でいかに速く正確に英語長文を読み取り、解答できるか力量を問う問題であるといえます。文章内容も湘南は光の反射と空の色の変化といった理系的な内容、柏陽は文学作品の引用から価値観の違いを読み取らせるといったように学校ごとに特色が出ました。次に数学ですが、どの高校でも平均点が低い科目となっています。共通問題との大きな違いとして挙げられるのは記述式の問題が多いことで、柏陽は証明問題が3問出題されました。解答を導くための、筋道を立てた論理的な思考が必要とされます。最後に国語です。英語や数学に比べると平均点は上がりますが、横須賀高校では四字熟語や慣用句の出題が、柏陽では他校に見られない漢文訓読文が出題されました。英語・数学同様文章量が多く、速く正確に内容を理解し、解答することが求められました。このように独自入試問題は、共通問題と比較するとどの科目においても総合的に学力を測る出題になっています。確かな学力をもつ生徒を多く集めたいという進学校の意向は独自入試を採用することからもうかがえます。
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■ 学習目標レベルは「独自入試」に。日々の学習の積み重ねが大切。
以上みてきたように独自入試問題は文章量がポイントであり、内容を正確に理解する「思考力」と限られた時間内で多くの情報を読み取る「処理能力」が求められます。これらの力は一朝一夕でつくものではありません。日々の学習の積み重ねやトレーニングが必要です。ただしやみくもに基本問題ばかりを繰り返す、また最初から難問に取り組むことは避けましょう。独自入試の出題範囲も共通問題同様、中学3年間の学習内容全般から。基礎基本をおろそかにせず取り組むこと、そして学習目標のレベルを「独自入試レベル」におくことが大切です。 |