入試最前線
2009年4月24日号
>> 2009年度大学入試総括

国公立大学の後期日程合格発表が3月下旬に行われ、1月のセンター試験から始まった長期間にわたる入試が終了しました。今回は2009年度の大学入試を総括します。

★センター試験概況
2009年度のセンター試験は、1/17(土)と18(日)の日程で行われました。国公私立合わせた実施大学数は797大学(国立82、公立74、私立487、公私立短大154)で過去最高です。志願者数は前年より微増の543,981名、うち現役高校生は431,263名で現役志願率は79.3%と前年よりも0.8ポイント上昇しました。 2006年度の新教育課程入試開始以降、センター試験の平均点は1年ごとにアップダウンしており、2007年度下降→2008年度上昇→2009年度下降、と隔年現象が起きています。国立大学の多くが課している7科目型の平均点については、文系(6教科7科目)で約555点前後、理系(5教科7科目)で約570点前後であったと推定され、文系は前年度より15点程度ダウン、理系は同20点前後のダウンとなっており、文系・理系ともに2007年度並みに難化しました。おもな科目別の平均点は以下の通りです。

 ■ 2009年度 大学入試センター試験平均点
 科目名
配点
 平均点  受験者数
2008年度
2009年度
対前年
2008年度
2009年度
対前年
 英語(筆記)
200 
125.26 
115.02 
▼10.24 
497,101
500,297
3,196
 英語(リスニング)
50 
29.45 
24.03 

▼5.42 

490,853
494,342
3,489
 数学Ⅰ・A
100 
66.31 
63.96 

▼2.35 

350,198
354,609
4,411
 数学Ⅱ・B
100 
51.01 
50.86 
▼0.15 
317,103
319,045
1,942
 国語
200 
121.64 
115.46 
▼6.18 
481,315
484,871
3,556
 物理Ⅰ
100 
64.55 
63.55 
▼1.0 
142,233
143,646
1,413
 化学Ⅰ
100 
64.21 
69.54 
5.33 
199,951
200,411
460
 生物Ⅰ
100 
57.64 
55.85 
▼1.79 
176,766
176,043
▼723
 地学Ⅰ
100 
59.68 
51.85 
▼7.83 
26,841
25,921
▼920
 日本史B
100 
64.27 
57.94 
▼6.3 
143,676
144,327
651
 世界史B
100 
58.98 
62.70 
3.72 
93,928
94,106
178
 地理B
100 
66.36 
64.45 
▼1.91 
107,519
109,616
2,097
 現代社会
100 
60.55 
60.19 
▼0.36 
174,686
169,711
▼4,975
 倫理
100 
67.58 
71.51 
3.93 
51,134
53,116
1,982
 政治経済
100 
63.73 
69.31 
5.58 
80,598
82,804
2,206

前年よりも平均点が下がった教科・科目が数多くあります。主要科目では、とくに英語(筆記)が前年度から約10ポイントダウンし、リスニングは平均正答率が50%を切りました。筆記の問題形式については、大きな変更点はなかったものの、設問によって語数の増加や内容の難化がみられました。全体では4,000語を超える問題となっており、受験生の速読力が強く問われるセンター試験英語の特徴があらわれた問題であったといえます。国語は前年度から6ポイントダウン。評論文、小説、古文で本文量が大幅に増加し、とくに古文では1,700字を超える今までにない長文が出題されました。英語と同様、限られた時間内で全問を解ききるための情報処理力や内容を正確に読み取る読解力が求められたといえます。受験生は常日頃から効率的な時間配分で問題を解く訓練と習慣をつけておくことが大切といえるでしょう。

★国公立大二次志願状況と私立大学入試
文部科学省は2009年度国公立大学の確定志願者数を475,020名と発表しました。前年度より12,757名の減少(前年度比97.4%)です。志願者が減少したおもな理由は、少子化による18歳人口の減少のほか、後期日程を廃止する大学が増加していることがあげられます。後期日程の募集定員が前年度より423名減少しているのに対し、志願者数は10,510名減少(前年対比93.8%)しており、受験生の後期日程敬遠傾向がうかがえます。そして、センター平均点のダウンが志願者減のもっとも大きな要因でしょう。「センター試験で良い結果が出せなかった」と感じた受験生が弱気になり、国公立大学受験を断念して私立大学中心の出願に切り替えたと考えられます。ただし、私立大学でも早稲田大や慶應義塾大などの最難関校の志願者数は減少しており、私立大学の出願においても安全志向が強かったといえます。国公立大学の学部・系統別の志願状況は以下のとおりです。ほとんどの学部・系統で志願者数が昨年度を下回る中、農・水産系が人気です。理由の1つに食糧危機や食の安全保障問題などの話題が受験生の興味や関心をひきつけたことが考えられます。北海道大(前期)は志願者数が前年対比124.0%と大幅にアップしました。このほか、京都大と名古屋大では理学部(前期)の人気が大きく上昇しました。2008年にノーベル賞を受賞した日本人4人のうち3人が名古屋大出身ということもあり、ノーベル賞受賞のニュースが大きなインパクトとなって志願者増加につながったと考えられます。

 ■ 2009年度 国公立大学学部系統別志願者数増減
 学部・系統 (国公立計)  2009年度  2008年度
募集人員
確定志願者数
志願倍率
募集人員
確定志願者数
志願倍率

 人文・社会

 人文・社会
27,436
139,599(95.7%)
5.1
27,483
145,914(98.6%)
5.3
 自然  理工
34,789
149,230(99.0%)
4.3
348,456
150,701(103.2%)
4.3
 農・水産
6,262
28,216(103.5%)
4.5
6,276
27,259(103.1%)
4.3
 医・歯
8,400
46,329(96.5%)
5.5
8,192
48,021(97.3%)
5.9
 薬・看護
4,408
22,707(99.1%)
5.2
4,322
22,905(100.6%)
5.3
 教員養成  教員養成
12,099
51,363(96.0%)
4.2
12,210
53,817(115.0%)
4.4
 その他  その他
6,499
37,576(97.4%)
5.8
6,525
39,160(79.6%)
6.0
 合計
99,893
475,020(97.4%)
4.8
99,864
487,777(99.8%)
4.9

次に、私立大学の志願状況(※)です。 センター試験の平均点ダウン、また景気後退の影響で受験生が受験料節約を考え、併願校を絞る傾向がみられました。とくに難関大学で志願者減が目立ちます。先ほどもお伝えしましたが、ここ数年志願者を伸ばし続けてきた最難関校の早稲田・慶應義塾大で志願者が前年度を下回りました。両大学ともに前年度に比べてセンター試験利用入試の受験生が大幅に減少しており、志願者数に大きく影響したと考えられます。明治・青山学院・立教・法政・中央・東京理科大といった首都圏の上位大は、明治大(前年対比98.1%)や法政大(同88.6%)で志願者減となっていますが、青山学院大(同117.1%)と中央大(同105.9%)は志願者が増加しており、大学ごとの状況は異なります。このほかにも2009年度は東洋大・日本大・学習院大などが志願者を伸ばしています。学部新設や改組、また入試方式の追加・変更により受験生が集中したことが要因の1つにあげられます。
(※)私立大学の志願状況は3月入試分を含まず、確定志願者数ではありません。                                                                        

早期の志望校決定と対策、情報収集が難関大現役合格のカギ
大学進学率は上昇を続けており、現在、大学・短期大学の現役進学率は52.8%と半数を超えています。大学入試制度改革が進む中、「受験生の負担の軽減」、「受験機会の増加」、「推薦・AO入試の実施」の3つがここ数年の大学入試の主流です。この中で、拡大を続けてきた推薦・AO入試で入学者の学力不足が指摘されるようになってきました。2009年3月、文部科学省は書類審査や面接などのAO入試について、「願書受付は8月1日以降、合否判定に筆記試験の成績などによる学力確認を求める」と新たな方針を発表しました。早期に合格を決めた学生の学力水準を保つため、選抜時に各大学は筆記試験を実施したり、センター試験の成績を確認することになります。2010年度に実施する入試からの適用となります。また、AO入試については、実施そのものを廃止・縮小する大学も出てきています。九州大(法)は2010年度入試から廃止します。今後の他大学への影響や動きに注目しておく必要があるでしょう。

中学入試や高校入試と比べるとさまざまな選抜方法があり、入試期間も長く、複雑である大学入試。まずは入試制度を理解すること、そして個々の大学・学部をよく知るために情報収集を行うなど、高1・2生から入試を意識して早期に取り組むことが大切といえます。難関大合格者の多くは早期の志望校決定と受験対策で確実な合格を手にしています。学習面においても基礎基本を大切にしながら、受験を意識して進めていくことが志望校合格の第一歩となるでしょう。


 
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