入試最前線
2008年4月4日号
2008年度大学入試総括

3月下旬に国公立大学の後期日程合格発表が行われ、1月のセンター試験から始まった長期間にわたる一般入試が終了しました。今回は2008年度の大学入試の総括をお伝えします。

★センター試験概況
2008年度のセンター試験は、1/19(土)と20(日)の日程で行われました。国公私立合わせた実施大学数は777大学(国立82、公立73、私立466、公私立短大156)、志願者数543,385名、受験者数は504,387名でした。受験者数は2007年度から1.8%減少していますが、2008年度は少子化により高等学校卒業見込者も前年より4.8%減となる見込みです。志願者のうち現役高校生が占める割合は78.8%と昨年度よりも0.3ポイント上昇しました。

2006年度に新教育課程入試が始まり、過去2年間のセンター平均点は大きく乱高下し、受験生の出願動向に影響を及ぼしました。2008年度、おもな科目別の平均点は以下の通りです。各科目の平均点に多少のばらつきは見られますが、全体的なレベルは概ね6割前後で安定しているといえるでしょう。前年度と比較し、もっとも平均点があがったのは数学Ⅰ・A(12.3ポイント)、そのほか国語や現代社会でも10ポイント以上アップしています。逆に生物Ⅰや世界史Bなど、平均点がダウンしている科目も多く見られますが、全体的には下がり幅よりも上がり幅の方が大きく、文系・理系ともに昨年度より易化したとみられます。

  ★2008年度センター試験平均点
 科目名
配点
 平均点
 受験者数
2008年度
2007年度
対前年
2008年度
2007年度
対前年
 英語(筆記)
200
125.26
131.08
▲5.8
497,101
503,823
▲6,722
 英語(リスニング)
50
29.45
32.47
▲3.0
490,853
497,530
▲6,677
 数学Ⅰ・A
100
66.31
54.06
12.3
350,198
353,545
▲3,347
 数学Ⅱ・B
100
51.01
48.94
2.1
317,103
316,968
135
 国語
200
121.64
109.94
11.7
481,315
487,424
▲6,110
 物理Ⅰ
100
64.55
64.42
0.1
142,233
141,274
959
 化学Ⅰ
100
64.21
61.35
2.9
199,951
200,001
50
 生物Ⅰ
100
57.64
67.04
▲9.4
176,766
180,010
3,244
 地学Ⅰ
100
59.68
62.42
▲2.7
26,841
27,561
720
 日本史B
100
64.27
67.02
▲2.8
143,676
147,333
▲3,657
 世界史B
100
58.98
67.75
▲8.8
93,928
91,619
2,309
 地理B
100
66.36
58.41
7.9
107,519
108,798
▲1,279
 現代社会
100
60.55
50.31
10.2
174,686
207,907
▲33,221
 倫理
100
67.58
69.66
▲2.1
51,134
44,442
6,692
 政治経済
100
63.73
64.41
▲0.7
80,598
70,043
10,555
 

★国公立大二次志願状況と私立大学入試
文部科学省は国公立大学の確定志願者数を487,777名と発表しました。高等学校卒業見込者が前年度より約54,000名減少する中、志願者数は前年対比マイナス750名と小幅な減少にとどまっています。おもな要因として、センター平均点のアップにより、強気な出願をする受験生が増えたこと、2008年度後期日程を縮小・廃止する大学が増加したために、公立大中期日程への出願が増えたことなどが考えられます。一例をあげると、東京大では後期日程の改編が行われ、前期日程の志願者は昨年度より約5%増加しました。大阪大は2008年度大阪外語大との統合により外国語学部を新設、これに伴う志願者増に加え、京都大で後期日程が廃止(※医学部を除く)されたことも影響し、前・後期日程ともに志願者を集めました。これにより、大阪大の志願者数は昨年対比150%と大きく増加しました。また、公立大では高崎経済大(経済学部)の中期日程で志願者数が昨年対比127%と顕著な増加が見られました。学部系統別では、就職をとりまく環境が好転していることなどを受け、理系は引き続き理工系が人気、文系は教員養成系が昨年並の人気となりました。

  ★2008年度国公立大学学部系統別志願者数増減(文部科学省発表資料より)

 学部・系統

 2008年度  2007年度
募集人員
確定志願者数
志願倍率
募集人員
確定志願者数
志願倍率
 人文・社会
27,483
145,914
5.3
27,329
147,940
5.4

 理工

348,456
150,701
4.3
34,592
146,056
4.2
 農・水産
6,276
27,259
4.3
6,278
26,440
4.2
 医・歯
8,192
48,021
5.9
8,452
49,350
5.8
 薬・看護
4,322
22,905
5.3
4,113
22,761
5.5
 教員養成
12,210
53,817
4.4
10,676
46,814
4.4
 その他
6,525
39,160
6.0
9,309
49,166
5.3
 合計
99,864
487,777
4.9
100,749
488,527
4.8

次に、私立大学の志願状況についてお伝えします。 2008年度はとくにセンター利用方式やセンター併用方式、全学部入試などの入試改革を行った大学で今年も多くの志願者を集めるケースが目立ちました。センター平均点がアップしたこともあり、難関大を中心にセンター利用方式を活用した強気な出願が増加、志願者が昨年度を上回る大学が数多く見られました。とくに明治・青山学院・立教・法政・中央・東京理科といった有名大は昨年度を超える志願者となりました。中でも中央は1月しめきり時点で昨年対比125%、8万人を超える志願者となりました。私立最難関の早慶上智は昨年度並みの志願者で、安定した人気を保っているといえます。注目は慶應義塾に新設された薬学部(※旧共立薬科との統合で新設)。募集人員170名に対し、志願者4,888名、志願倍率28.7倍を超える激戦となりました。
国公立・私立大に共通して言えることは、「高等学校卒業見込者が減少する中、受験生のチャレンジ志向は高まり、難関大を中心に志願者を集める傾向が続いている」ということです。国公立は東大・京大をはじめとする旧帝大、私立は早慶上智、明治・青山学院・立教・法政・中央・東京理科などで志願者が増加する一方、入試難易度がそれほど高くない大学の学部・学科では志願者減となるなど、大学の人気の二極化はさらに進行しているといえるでしょう。

早期の志望校決定と対策、情報収集が難関大現役合格のカギ
大学入試制度改革が進む中、「受験生の負担の軽減」、「受験機会の増加」、「推薦・AO入試の実施」の3つがここ数年の大学入試の主流になっています。しかし、拡大を続けていた推薦・AO入試で入学者の学力不足が指摘されるようになってきました。文部科学省の諮問機関である中央教育審議会作業部会は、大学入学者の学力水準を保つための改善策として、選抜時の学力検査実施やセンター試験の成績を出願資格や合否判定に活用する、資格の取得や検定試験の成績を重視することなどを提言しました。はやくも一部の大学で2009年度入試からの変更点が発表されています。たとえば一橋大(商学部)は後期日程の廃止に伴い、6教科7科目のセンター試験を課す普通高校推薦入試を実施。また、筑波大(国際総合学類)や九州大(法)はAO入試を廃止すると発表しました(※九州大(法)は2010年度入試から)。この2大学は国公立大学で初めてAO入試を実施した大学でもあり、今後の他大学への影響や動きに注目しておく必要があるでしょう。

中学入試や高校入試と比べるとさまざまな選抜方法があり、複雑である大学入試。入試制度を理解すること、個々の大学・学部をよく知るために情報収集を行うなど、高1・2生から入試を意識して早期に取り組むことが大切です。入試難易の二極化は定着し、難関大合格者の多くは早期の志望校決定と受験対策で確実な合格を手にしています。学習面においても基礎基本を大切にしながら、受験を意識して進めていくことが志望校合格の第一歩となるでしょう。