入試最前線
2009年3月23日号
≫ 2009年度中学入試総括

■ 2009年度入試の受験率は…
私立中学人気・公立との学習内容の格差・受験率の上昇などにより、年々増加していた中学受験人口ですが、全国的な不況もあって今年はどうなるのかが注目されました。受験者数は昨年度並みでしたが、1都3県の小学校卒業生数は昨年より約5,000人多かったため、受験率としては昨年度より若干低い17.6%となりました(CG啓明館調べ。各都県で行われている公立中高一貫校・公立中等教育学校のみを受験していると思われる受験生は含みません)。3月1日のCG啓明館主催中学入試報告会でもすでにお伝えしましたが、小学校卒業生数と受験率の関係は以下のとおりです。

受験者数は昨年並み、小学校卒業生数全体では17.6%というわずかな集団ですが、今年も中学入試の「厳しさ」「過熱」などの文字が新聞やニュースなどを賑わせました。私立中学は、設立の理念に見合った生徒を選抜するために、入試問題も各学校で独自に作成し、独自の入試制度で選抜することができます。学校側にとっても受験生側にとっても選択の幅のあるものです。それゆえ、各学校では学習活動ばかりでなく、学校行事などでも多くの受験生に選ばれるための工夫をして、魅力ある学校づくりをしています。「義務教育の場を自分で選択できる」ということも私立中学進学の魅力の1つと言えるでしょう。

折れ線グラフを見ていただくとわかるとおり、受験率は年々高くなっていましたが、前述の通りここ数年では初めて0.2ポイント前年より減少しました。受験率が20%を上回ったといった報道もありますが、これは1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)の公立中高一貫校の受験者を加えたものです。公立中高一貫校の受験者のうち、国・私立も受験している生徒は30%前後で、1都3県で国・私立中を受験している受験生は53,000人と推定されます(CG啓明館調べ)。来年の小学校卒業生数は約1,000名程度の増加。ただし、中学受験者数の増減については経済情勢もあり、微妙な状況です。公立中高一貫校の受験者が増加することも考えられますが、2010年度の私立中学受験者数はほぼ横ばい、受験率も17.5~18.5%の間で推移するものと推測されます。

■ 厳しかった実質倍率
■〔表1〕 神奈川県内私立中学校の2/1午前の受験者数の推移
  年度
受験者数
前年度との比較
  2005年
8,907人
-
  2006年
9,139人
+2.5%
  2007年
9,232人
+1.0%
  2008年
9,153人
-0.9%
  2009年
9,117人
-0.8%
・各学校から公表されている2月1日(午前入試)の受験者数に公表されていない学校の受験者数の推定値を加えたものです。
・「東京都の受験生が2月1日に神奈川県の学校を受験した場合」などは神奈川県の受験者数に加算されるため、神奈川県居住の受験者数を表すものではありません。

受験率が若干下がったことは前述の通りですが、神奈川県内のみを見ても、志願者数・受験者数を増やした学校はさほど多くなく、若干の減少と考えられています。ご参考までに、神奈川県内の学校の2月1日午前の受験者数を掲載します。

2009年度神奈川県内の受験率は13~14%と推定され、ここ数年、一定しているものと思われます。2009年度入試の大きな特徴の1つとして受験者数が減少し、2月3日ぐらいまでの前半日程が比較的合格しやすくなるとの予測もありました。しかし、強気志向から安全志向も見えてきた結果、中堅校の志願者が増加。その影響で前半日程の中堅校で厳しくなり、合格校をまだ得ていない、または合格校があってもさらに挑戦したい受験生の存在によって、後半日程で高倍率となる学校がありました。そして、前半日程での手続き率が高くなったために、各学校はもともと定員の少ない後半日程でさらに合格者を絞らざるを得ない状況となり、実質倍率が高くなるという現象が起きました東京都および神奈川県内で、前半日程と比較して後半日程の実質倍率が顕著に高くなった学校は以下のとおりです。

■〔表2〕 前半日程と比較して、後半日程の倍率が高かった東京都内・神奈川県内の私立中学校
性別
 学校名  前半日程  後半日程
募集名称
試験日
受験者数
合格者数
実質倍率
募集名称
試験日
受験者数
合格者数
実質倍率
高輪
A日程
2/1
381
115
3.3
C日程
2/4
358
63
5.7
鎌倉学園
1次
2/2
511
149
3.4
3次
2/5
337
57
5.9
品川女子学院
1回
2/1
405
125
3.2
3回
2/5
314
42
7.5
豊島岡女子学園
1回
2/2
816

228

3.6
3回
2/4
504
49
10.3
横浜山手女子
1回※
2/1
78
41
1.9
4回※
2/3
31
1
31.0
神奈川大学附属
A日程
2/2
825
255
3.2
C日程
2/6
479
20
24.0
日本大学
1回
2/1
782
313
2.5
2回
2/5
606
109
5.6
山手学院
A日程※
2/1
308
113
2.8
後期日程
2/7
215
41
5.2
の日程の受験者数・合計者数は2科・4科合計 
☆共学校は男子・女子合計 ☆神奈川大学附属A日程は4科、C日程は2科

各学校では、直前・当日出願や「いいとこどり(同じ学校を複数回受験したときに教科ごとでもっとも高い得点の合計を用いて合格判定を行う)」など、受験しやすさや入学を熱望する受験生が少しでも入学しやすくすることなどを前面に出して、入試制度を作っていますが、〔表2〕ように後半日程が激戦になるのは、決して2009年度入試に限ったものではなく、2010年入試でも同じような現象が起こるものと思われます。早くから志望校を決め、多くの学校を見学し、納得した上で入試時期を迎える必要があります。

■ 2010年度入試の変更点
毎年のように変化する中学入試ですが、2010年度は以下のような変更点や変化があります。

1. サンデーショックがもとに戻る
2009年度入試は2月1日が日曜日で、キリスト教(特にプロテスタント系)の学校が、日曜日を避けて入試日設定をして、逆に競合校が2月1日に入試を行う現象が見られたが、それらが従来の形に戻る。
2. 4科入試日程の増加
神奈川県内では捜真女学校(B試験)で予定。それ以外にも部分的に2科4科選択から4科目に入試科目を変更する学校がある見込み。

上記以外にも、開校2年目を迎える県立相模原・平塚の両中等教育学校の動きが気になるところです。適性検査・グループ活動をすでに1回行った実績から、塾側も対策を立てやすくなり、それに乗じて受検者が増加することも考えられます。中学受験がマスコミを賑わし、電車内の雑誌の吊り広告でも毎週のように中学受験の記事が見られ、今まで中学受験に関心のなかった人たちでも容易に多くの情報を得ることが可能になってきました。学校側も文化祭・オープンキャンパス・説明会での学校紹介やカリキュラム、土曜講座、補習・先取り授業等の教育内容の充実、さらに試験日程の調整といった入試制度改定でより多くの受験生を迎え入れています。 「中学入試は厳しくなる」という風評は来年も立つと予想されます。マスコミは「受験率の上昇」ということばで、入試の厳しさを際立たせて報道しています。実際には厳しい入試に立ち向かって、受験校の問題研究や多くの学習時間をかけたことで憧れつづけた第1志望に合格した受験生もたくさんいます。CG啓明館では今年度入試の合格校獲得率が98.99%になりました。私立中学はそれぞれの学校が独自の教育理念を持っています。受験生が増えるということは、厳しい・難しい・入りづらい…と捉えてしまいますが、同時に教育内容に魅力があるから志願者が多くなるわけです。2010年度入試に向けて、私たちも受験に関する情報や、主催説明会をはじめとした多くの学校情報を提供してまいります。ぜひご活用ください。

文責: CG啓明館事業部情報チーム 松村 淳


 
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