入試最前線
2008年3月19日号
≫2008年度中学入試総括

★年々アップする中学受験率
私立中学の人気・公立との学習内容の格差・受験率の向上・・・年々増加している中学受験人口ですが、中学受験そのものがこれほどマスコミに取り上げられた年も珍しかったのではないでしょうか。受験者数が増加しているとはいっても、小学校卒業生数全体では、まだ17~18%というわずかな集団。しかし、「厳しさ」「過熱」などの文字が新聞やニュースなどを賑わせ、中学入試自体が社会現象化しました。2/24(日)のCG啓明館主催中学入試報告会でもお伝えしましたが、小学校卒業生数と受験率の関係は以下のとおりです。

折れ線グラフを見ていただくとわかるとおり、受験率は年々高まっています。多くの報道で、受験率が20%を上回ったなどとの情報もありますが、これは、国私立の受験者に東京・千葉・埼玉の公立中高一貫校のみの受験者を加えた受験率です。公立中高一貫校の受験者のうち、国私立も受験している者は35%程度です。CG啓明館では、2008年度国私立中を受験している受験生は1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)で52,600人、受験率は17.8%と推定しています。来年度は小学校卒業生数が約8,000名増加します。中学受験人口も増加すると考えられますから、受験率がアップするのは確実な情勢で、18%超~19%の範囲内で推移するものと思われます。

★厳しかった実質倍率
 ■〔表1〕 神奈川県内中学校の2/1午前の受験者数の推移
  年度
受験者数
前年度との比較
  2005年
8,907人
-
  2006年
9,139人
+2.5%
  2007年
9,232人
+1.0%
  2008年
9,153人
-0.9%

受験率が1都3県でアップしたことは、前述のとおりですが、神奈川県内のみに限れば、昨年度入試より志願者数・受験者数を増やした学校はさほど多くなく、全体では横ばいか若干の減少だったとみられています。神奈川県内の受験率も13~14%程度と、ここ数年一定しているものと思われます。ご参考までに、神奈川県内の学校の2/1午前入試の受験者数を〔表1〕にまとめました。先日、横浜市は小学生の私立中学校進学予定率を公表しました。進学率は19%で昨年より0.3%アップしていますが、こちらもここ数年ほぼ横ばいで推移しています。

2008年度入試の大きな特徴の1つとして、受験者数が少なくなって、2/3ぐらいまでの前半日程が比較的合格しやすくなるとの予測もありました。しかし、強気志向から安全志向も見えてきた結果、中堅校の志願者が増加。その影響で前半日程の中堅校が厳しくなり、合格校をまだ得ていない、また合格校があってもさらに上位校に挑戦する受験生の存在によって、今年も後半日程で倍率が高くなる学校が目立ちました。そして、前半日程の合格校での手続き率が高くなったことで、各学校は定員の少ない後半日程の合格者を絞らざるを得ない状況がおこり、実質倍率が高くなるという現象が起きました。東京都と神奈川県内で前半日程と比較して後半日程の実質倍率が顕著に高くなった学校は以下のとおりです。
■〔表2〕 前半日程と比較して、後半日程の倍率が高かった東京都内・神奈川県内の中学校
性別
学校名 前半日程 後半日程
募集名称
試験日
受験者数
合格者数
実質倍率
募集名称
試験日
受験者数
合格者数
実質倍率
高輪
A日程
2/1
402
117
3.4
C日程
2/4
294
55
5.3
鎌倉学園
1次
2/2
527
150
3.5
3次
2/5
338
60
5.6
品川女子学院
1回
2/1
295
113
2.6
3回
2/6
326
43
7.6
神奈川学園
A日程※
2/1
311
136
2.3
C日程※
2/4
228
39
5.8
カリタス女子
1回
2/1
124
51
2.4
3回※
2/6
199
34
5.9
横浜富士見丘学園中等教育
1回A※
2/1
149
67
2.2
4回
2/6
171
31
5.5
渋谷教育学院渋谷
1回
2/1
469
134
3.5
3回
2/5
509
27
18.9
青稜
1回A
2/1
240
62
3.9
3回※
2/4
323
35
9.2
神奈川大学附属
A日程
2/2
797
266
3.0
C日程
2/6
384
21
18.3
東海大学付属相模
A試験※
2/1
414
187
2.2
B試験※
2/4
255
50
5.1
森村学園
1回※
2/2
267
87
3.1
3回
2/6
191
27
7.1
の日程の受験者数・合計者数は2科・4科合計 
☆共学校は男子・女子合計 ☆神奈川大学附属A日程は4科、C日程は2科
★2009年度入試の変更点
中学受験がマスコミを賑わし、電車の中の雑誌の吊り広告でも毎週のように中学受験の記事が書かれていることが常識となっている中、今まで中学受験に関心のなかった人たちでも容易に多くの情報を得ることが可能になってきました。学校側も文化祭・オープンキャンパス・説明会等のディスプレイ部分やカリキュラム、土曜講座、補習・先取り授業等の教育内容を充実させたり、試験日程の調整や「いいとこどり(同じ学校を複数回受験したときに教科ごとでもっとも高い得点の合計を用いて合格判定を行う)」など、独自の入試制度を作ることによって受験生を迎え入れています。このように、毎年変化のある中学入試ですが、2009年度は以下のような変更点や変化があります。

1. サンデーショック
2/1が日曜日で、キリスト教(特にプロテスタント系)の学校が、日曜日を避けて入試日設定をして、逆に競合校が2/1に入試を行う。
2. 神奈川県立中高一貫校の開校
県立大原・県立相模大野を母体に開校。全県学区で適性検査・グループ活動・作文・調査書で判定。
3. 4科入試校の増加
神奈川県内では湘南学園の全日程や藤嶺学園藤沢の午後入試を除く日程で予定。それ以外にも部分的に2科4科選択から4科目に入試科目を変更する学校がある見込み。


「中学入試は厳しくなる」という風評は来年も立つことになると予想されます。マスコミは「受験率の向上」ということばで、入試の厳しさを際立たせて報道していますが、実際には厳しい入試に立ち向かって、受験校の問題研究や多くの学習時間をかけた結果、第1志望に合格した受験生もたくさんいます。CG啓明館では今年度の入試で99%超の合格校獲得率になりました。私立中学はそれぞれの学校が独自の教育理念を持っています。受験生が増えるということは、厳しい・難しい・入りづらい…と捉えてしまいますが、教育内容に魅力があるからこそ志願者が多くなるわけです。生徒・保護者のみなさまには2009年度入試に向けて、多くの学校を研究していただきたいと思います。

文責: CG啓明館事業部情報チーム 松村 淳


 
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